「水道管(給水管)」に使用される素材はどれがベスト?

水道管(給水管)は家の大動脈?
動脈硬化という病名は皆さんも聞いたことがあると思います。
「動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる病変」
引用:国立循環器病研究センター
動脈硬化は年配の方が発症することが多く、放置すると死に至る恐ろしい疾患です。
家の中で血管にあたるのは、水道管(給水管)でしょう。
血管が体の至るところに血液を届けるように、水道管は家庭内だけでもお風呂、洗面所、台所と、隅々まで水を送り届けています。
文字通り、家庭内の大動脈と呼ぶべき水道管。
放っておいたら劣化が進むのは血管と同じです。
水道管を補強しないとどのようなことが起こってしまうのか、対応策はあるのか、詳しく解説していきます。
水道管の材質をご紹介
普段意識することのない水道管ですが、不具合が生じると生活に支障をきたしますよね。
汚い水が出たり、つまったり。そういうトラブルが起きたら、水道管を点検、修理する必要が出てきます。
町の水道局や業者に点検を依頼する前に、水道管の材質をある程度把握しておくことをおすすめします。水道管のトラブルには使用されている材質もしばしば関係しているからです。
硬質塩化ビニル管
いわゆる「塩ビ管」と呼ばれる材質です。1950年代に作られて以来、水道管の素材としても広く普及しています。樹脂製で、耐久性、耐薬品性、難燃性に優れているのが特徴。
水道管の素材に向いている理由の1つに、その耐食性があります。鉄のように錆びたり、腐食したりすることがありません。また、耐薬品性もあるので、アルカリや塩類などにも耐えます。
鉄製の給水管だと、水道水に含まれる塩素によって内側が錆びてきていまします。しかし、硬質塩化ビニル管はそのような錆びの発生も防ぎます。
また、その軽さも水道管の素材として適していると考えられています。比重は鉄の5分の1ともいわれ、運搬が比較的楽に行えます。
ただし、短所があるのも事実。低温に弱く、5℃以下の環境だと割れやすくなるといわれています。また、有機溶剤や紫外線に弱いという特質もあります。
このような弱点を改良して作られたのが、耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP管)です。衝撃に強く、また低温に対応する性質をもっています。
ステンレス鋼管
ステンレスは英語で「錆びにくい」という意味があり、まさに錆びに強い材質です。
耐食性がありますので、安全性が重視される食品を扱う厨房や食品工業の現場で長く使われています。
ステンレス鋼管には意外な特性があります。それは、廃棄や再生処理の際に排出される有害物質が極めて少ないということ。そのため、環境にも優しい材質としても注目を集めています。
ポリエリレン管
水道事業ガイドラインなどで『耐震管』に分類されている管材です。
耐震性、柔軟性、耐食性、軽量に優れた管材です。
鉄管(鋼管)
鉄管はかつて、水道管の材料といて広く使われていました。しかし、水道水に含まれる塩素によって錆びやすいことから、現代では鉄をむき出しにしたまま使用されているケースはあまりないのではないでしょうか。
また、他に安全性、利便性、耐久性の高い素材も次々と作り出されていますので、現代では鉄管の使用は一般的ではありません。
水道管見直して家を長持ちに
冒頭で「水道管は家の大動脈」というお話をしました。
では、もし大動脈が破裂してしまったらどうなるでしょうか。
大動脈のコブが破裂する「大動脈解離」という疾患は放置した場合の致死率が実に80%を超えるそうなんです。
家の水道管が破裂するのも同じことなんですよね。
つまり水道管の破裂によって家が死んでしまう可能性だって十分考えられるのです。
近年使われなくなってきている金属管ですが、古めの家の場合、まだまだ使われている可能性が高いです。
お住まいの方は早めに取り換えた方がいいでしょう。
また、塩化ビニール管にも温度変化に弱いというデメリットがあります。
その点、架橋ポリエチレン管はデメリットの少ない素材となっています。
工事費はおよそ50万円と決して安くはありませんが、まだ自宅の水道管に使用していない方は交換を検討してみてはいかがでしょうか。
水道管を丈夫にして家を長寿にするウサ
Dr.ウサ