【疑問を解決!】屋根の特徴は地域によって違う?気候に合わせて進化してきた日本の屋根

目次
屋根の特徴は地域の気候によって特徴が異なる
日本の家の屋根は地域によって異なる特徴を持ちます。
主な理由としては以下が挙げられます。
- 日本は縦に長く緯度の関係で、北端と南端で気候が大きく異なる
- 降雪量が多い地域と少ない地域がある
- 毎年台風が直撃する地域がある
- 海沿いの地域は塩害による家屋の侵食がある
- 山間部の地域では湿気によるカビの侵食がある
日本は地域ごとに気候や災害の起こりやすさが異なります。
よって地域ごとに適した屋根の特徴を持つのです。
特に降雪量の多い北海道や東北地方は、雪の事故を起こさないための特徴を持ちます。
一方、毎年台風が直撃し、毎年の降水量の多い九州・沖縄地方では雨・風に強い工夫が施されているのです。
そのほかの地域でも気候や立地に対応した屋根の特徴を持つので、詳しく解説していきます。
屋根の地域ごとの特徴:北海道・東北地方
毎年多くの雪が降る北海道や東北地方の屋根は、雪に強い構造や落雪による事故を防ぐ工夫や施工がされています。
見た目に分かりやすいのは、屋根の勾配と積雪対策の設備が付いている点でしょう。
また屋根の雪下ろしがし易いという理由で、日本瓦でなくトタンやガルバリウム鋼板といった金属製の屋根が多いのも特徴です。
山間部の古民家は尖った屋根が特徴
降雪量が多いと屋根の上に雪が積み重なり、雪の重みで家屋が潰れていまいます。
そのため昔の雪国では「三角屋根」と呼ばれる、屋根の勾配(角度)が45〜60°の尖った屋根が一般的でした。
これは雪が屋根に積もり難くする構造で、今でも山間部の古民家などで見ることができます。
屋根の雪を下ろし易いメリットがありますが、同時に落雪によって家屋の周りが埋まったり人が巻き込まれる事故が起きるデメリットもあります。
現代の住宅地では勾配の緩い屋根が主流
反面、現在の住宅地にある家の屋根は勾配が16〜30°程と角度が緩くなっています。
これは住宅密集地で落雪による隣家や道路の通行人への被害や事故を防ぐためです。
また金属製の屋根で雪の滑りを良くし、雪下ろしを楽にしているのも特徴です。
他にも新しい工法として屋根をほぼ平らにして暖房設備の熱で雪を溶かし、屋根への積雪をほぼ無くした無落雪屋根という屋根も増えてきました。
屋根の雪止めについて
雪国の屋根には雪の落下事故を防ぐために、わざと雪が全部落ちないようにする雪止めという突起が付いてるのも特徴です。
特に道路側の屋根から車や通行人に雪が落ちるのを防ぐためにつけられており、札幌市や一部の自治体では雪止めの設置を義務付けている地域もあります。
屋根の融雪設備について
現代の住宅の屋根では雪を屋根の上で溶かして、雪下ろしの手間を軽減する設備も増えています。
主な仕組みとしては
- 金属製の屋根に電気ヒーターを仕込んで雪を溶かす
- 屋根裏に温めた不凍液やお湯を循環させる
- 太陽光熱を利用して屋根を温める
などの方法がありますが、いずれも電気・灯油を使用するためランニングコストがかかる点に注意しましょう。
屋根の地域ごとの特徴:沖縄・奄美地方
沖縄県は毎年強力な台風が直撃し、「台風銀座」とも呼ばれます。
そのため沖縄奄美地方では暴風によって飛ばされてくる物から家をを守る屋根になっているのが特徴です。
屋根の勾配は雨が流れ落ちやすいように、キツめの角度になっています。
ちなみに雨が多い地域に瓦屋根が多い理由は、遮音性が高いという理由があります。
日本瓦は激しい雨風が打ち付ける音から住んでいる人を守っているのです。
瓦屋根に施された工夫
沖縄・九州地方では台風による風や雨に強い、昔ながらの瓦屋根が多く使われています。
しかし台風による暴風で瓦が飛ばされてしまう恐れがある為、瓦同士を漆喰でつなぎ固定する伝統的な補強が施されています。
ちなみに沖縄の赤い瓦は琉球赤瓦といい、吸水性・通気性に優れ、屋根の湿気を逃がしたり夏場の急激な室内温度の上昇を緩和したりする効果があります。
屋根の地域ごとの特徴:九州地方
火山活動が活発な地域の屋根には、降り積もる火山灰に対する工夫が施されています。
それが灰シューターという設備です。
灰シューターは屋根に溜まった火山灰が雨で流れやすくするためのものです。
主に定期的な噴火を繰り返す桜島がある、鹿児島地方の屋根に多く見られます。
地域ごとの屋根の特徴:関東
一見自由な屋根が多いように思える関東地方ですが、住宅が密集しているということで雪の事故を防ぐ工夫がされています。それが雪止めです。
屋根に独特な突起が付いているのが特徴で、隣家や道路へ雪が落ちることで起こる事故を防止しています。
山間部は湿気対策が重要
山間部では家の中に湿気が溜まりやすいので、あらかじめ屋根や室内の空気を循環させる設備を設置する家もあります。
特に日本の山間部の湿気は住宅を痛めやすく、カビによる被害が深刻です。
屋根だけでなく家全体で換気をするなどの対策が必要です。
海沿いの地域は潮風に強い屋根が特徴
海沿いの地域では海からの潮風によって屋根や家の壁に塩分が付着し、侵食して痛める塩害がおきます。
塩害は主に建築物の鋼材や屋根の金属を錆びさせて、やがてその周辺の構造材を腐食させる現象です。
そんな海沿いの屋根によく見られる特徴としては
- 強風の抵抗を減らすため屋根の勾配は緩い
- 塩害に強い日本瓦やスレート屋根が多い
というものがあります。
屋根や壁には塩分に強い塗料が使われていますが、塩害による侵食を防ぐために定期的な屋根の塗り直しやメンテナンスが必要です。
屋根の地域ごとの特徴はそこに住む人のために異なる
日本の屋根は、そこに住む人を守るべく進化してきました。
だからこそ地域や気候に応じて特徴が異なっているのです。
また屋根は家で最も痛みやすい場所でもあります。
雨漏りやひび割れを放置すると、屋内の柱や壁まで痛めてしまいます。
早めの点検をして、屋根から家全体の健康を守りましょう。
屋根は定期的なリフォームが必要なんだな~
パンダ院長