軒天について徹底解説します!

軒天とは外観に関わる部分でもあり、劣化を放置してしまうと外観だけでなく、雨漏りや家屋の寿命にも影響を与える大事な部分です。
軒天にはどんな役割があるのか、使用されている材料がどういうものなのか、劣化症状を知ってどのように補修していけば良いのかを細かくまとめました。
目次
軒天とは?
軒天とは、家屋・住宅の外壁から外側に伸びている屋根の裏側(真下)部分にある天井のことを指します。
破風板、雨樋、鼻隠し等と同じく付帯部分に属しており、外壁や屋根以外の箇所として塗装の際は分けて考えられます。
外壁の外側で天井からはみだして突き出ている部位を「軒」と言い、その裏側が「軒」の天井ということで「軒天」という呼び名がついたようです。
軒天の別名称
軒天は別名、「軒天ボード」「軒裏(のきうら)」「軒先(のきさき)」「上げ裏(あげうら)」「軒天井(のきてんじょう)」「軒裏天井(のきうらてんじょう)」とも呼ばれることがあります。
軒天の主な役割とは?
外観の美しさ
軒天がない場合、下からのぞくと屋根裏の野地板や垂木が丸見えになり、非常に見栄えが悪くなってしまいます。そのため軒天が張られるのです。
燃え広がりを防ぐ
軒天がない場合、もし火事で窓から火の手が上がったときに屋根裏まで炎が一気に広がり、あっという間に屋根が燃え尽き焼け落ちてしまいます。
屋根裏換気
軒天に有孔板(有孔ボード)を使用したり、軒裏換気口を設置したりすることで、屋根裏の内部結露を防ぐことが可能です。
表面に多数の穴が開いた有孔タイプのものを使用すれば、屋根裏に溜まった湿気を外部に排出することができます。
有孔板(有孔ボード)は、板の一部に穴が開いているタイプと全面に穴が開いているタイプの2つがあります。
防火有孔板は、通気のみならず、防火の役割も果たす、一部に穴が開いているタイプです。全面に穴が開いているタイプは全面有孔板と呼ばれています。
軒天の主な材質は?
ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)
ケイカル板は非常によく使われる軒天の材料です。
材質としては、セメントやセラミックスにメーカー独自の原料を混ぜ込んで製造されることが多いです。
非常に強い耐火性、耐水性を持ち丈夫で、軒天だけではなく台所、洗面所、暖炉などさまざまなところで使用されます。
法定不燃材に認定され、法律の上では「燃えない材料」とされています。
現在ではノンアスベストの原料を使用していますが、昔のものは石綿(アスベスト)が使用されていました。
合板(ごうばん)
古くから家屋の軒天によく使われていたのが合板です。
また、化粧板と呼ばれるひのき模様などの木目のシートを上から被せることで、さまざまな風合いを出したりもしていました。
薄い木の板の重ね合わせで非常に軽い材質ですが、耐久性は高くはありません。
昔は軒天に耐久性・耐水性がそこまで求められていなかったため、軒天に使用されていたことが多かったようです。
今でも、工事コストを抑えたりする際や、家屋にこだわりを持っているお客様が使用することもあります。
経年劣化により、合板の接着力がなくなり剥がれてしまった軒天は、見た目が非常に悪いです。
軒天の経年劣化
軒天は色あせや汚れが非常に目立ちやすい場所で、家屋の外側部分の裏ということもあり、雨風や台風の影響で剥がれるなどの不具合が生じることもあります。
表面が毛羽立ってしまうことで、家屋の外観が大きく損なわれるデメリットがあります。
また、軒天の経年劣化をそのまま放置し塗膜劣化が進行してしまうと、素材を守るためのコーティングの役割を果たせなくなって素材を傷めてしまい、軒天の素材全ての張り替えとなってしまう可能性も出てきます。
最悪の場合、野地垂木や野地板、破風板、構造材等までも傷めてしまい、湿気や雨水により水分が溜まりやすくなる致命的な影響を与えます。
塗装修理で対応できる劣化症状
メンテナンスコストを抑えるためにも初期劣化の段階で塗り替えをし、軒天全体に傷みが広がらないようにしましょう。
色あせ
直射日光は当たりませんが、アスファルトの照り返しなどの影響によって軒天は色あせます。
この段階で塗装修理を行う必要性はないかもしれませんが、劣化の初期段階として捉え、劣化の進行を食い止めたいと考えている方や見た目が気になる方は塗り替えることをおすすめします。
チョーキング
軒天を触ることが難しい場合もありますが、外壁と同様に古くなった塗膜のチョーキングが出たら塗り替えのタイミングです。
塗膜の劣化でチョーキングが起こりますので、保護機能の低下は間違いなく起こっています。
塗装の剥がれ
軒天の塗装が剥がれている場合は、早急に塗り替えを行うことをおすすめします。
塗装が剥がれている状態の場合、雨水を吸い込んだりし腐食の原因になるのは間違いありません。
また、軒天に化粧板(プリント合板)を使用している場合は、シートやプリント部分の剥がれが起きます。
カビ・苔(コケ)・藻(モ)
軒天にカビ・苔・藻などが発生した場合、塗膜の防水性の低下が原因で起こっていることがほとんどです。
家屋の北側は特に日が当たらず、更に水切れが悪くなると湿気がこもりやすくなり、カビ・苔・藻が発生する大きな原因となります。
軒天の修理・塗装による補修
実際の軒天を修理する際の塗装工程をご紹介します。
屋根や壁の塗装箇所より軒天は面積も少なく、短い工期で手間を掛けずに塗装工事を行うことが出来ます。
下地処理・素地調整
既存塗膜の不具合部分をサンドペーパー等でキレイに取り除きます。
また、カビ・苔・藻などもケレンをし、キレイに取り除きます。
この下地処理や素地調整をいかに行うかによって、これからの工程が大きく変わります。
サビ止め
軒天を固定している釘などの鉄の部品がある場合にのみサビ止めを塗布します。
下塗り
シーラー(吸い込み止め)をローラーやはけを使い軒天へまんべんなく塗布していきます。
シーラーのノリ具合で中塗り・上塗りが大きく変わります。
中塗り・上塗り
はけやローラーを用いて中塗りを行います。
その後、上塗りを所定の乾燥時間を置いた後に行います。
特に決まりはありませんが、中塗り・上塗りと2回塗りが基本となります。
まとめ
軒天は建物の重要な役割を担っている部分です。
更に外から見えてしまう部分でもあるため、やはり劣化を防いで美観を保っておきたいですよね。
軒天のDIYも不可能ではないですが高所にある場合が多く、自身の危険をおかしてまで行うのであれば、技術力を持った専門家や職人さんにリフォーム工事を依頼しましょう。
軒天もあなたの家の大切な一部であることを理解していただけると幸いです。